神戸空港国際化と新鉄道(2) 乗入れルートあれこれ
「神戸新駅」集約と「三宮新駅」集約を比較する
前回に続き、神戸空港直結の鉄道新線プランについて考えてみます。
神戸新聞が伝える構想案「三宮⇔空港案」と
私の推しとしての「神戸(新)駅」私案。
これらを一旦脇に置き、それ以外に現実的に可能性があると思える鉄道線について、引き続き検討してみました。
市民・県民、近隣県民、幅広い年齢層に使い勝手が良く、海外からも「わかりやすい、疲れない、神戸が便利」と思ってもらえる、そんな鉄道。
今のところ、神戸市構想による空港新線は「三宮⇔神戸空港」のようです。
神戸市外を目的地とする近隣県民、海外の方々は、乗り換えに不便を感じるでしょう。
レールの線形は、三宮⇔ベイエリア⇔ポーアイ方面をほぼ南北に貫き、すっきり分かりやすい。
おそらく三宮から新神戸駅までの延伸線まで前提に構想されるのでしょう。
ほかには、どのようなルートが考えられるでしょうか。
新神戸駅までの延伸を前提に話を進めます。
上の図は、阪急・阪神が仲良く三宮新駅に進入できる案です。
茶色ラインは阪急。
オレンジ色ラインの阪神新線A「阪神西灘~阪急春日野道」も、不可能ではない。
JR新線「JR摩耶→JR灘(南)」が、
これも不可能とは言い切れない。
これで一応、JR・阪急・阪神が三宮新駅でそろい踏み。
生田川あたりを、もう少し北へ通せば新神戸駅との連絡も。
これを目指すなら、ルートそのものを再検討すべきでしょう。
次は、もう少し緩やかな線形を考えてみました。
線形としては全く問題なし。
オレンジの阪神新線は、敷設が比較的に簡単でしょう。
青のJR新線も旧貨物線を流用できるので、単線なら工期が短縮できるでしょう。
大阪方面の速達性に優れます。
が、三宮などの中心市街地を完全にパスするルートであり、神戸市中央区以西地域にソッポを向いているかたちになっています。
この案は、はなからボツですね。
三宮の活用度を、もう少し高められないか。
別ルートを考えました。
オレンジの阪神新線(地下鉄道)は、阪神三宮を活用できる案です。
近鉄の乗入れを考えると、ターミナルとしての阪神三宮駅を活用するほうが得策でしょう。急カーブではありますが、このようなレールを敷けると阪神としても歓迎でしょう。ただ、実際に敷設するとなると実現可能性は・・・期待できないと思います。
阪神⇔鉄道新線の直通接続は、三宮に近づけば近づくほど難題になるようです。
阪神の電車を、三宮新駅に招き入れるには、上述の
阪神新線A「阪神西灘~阪急春日野道」ルートが案外有効かも知れません。
茶色の阪急新線は、阪急三宮駅の活用こそ諦めなければいけませんが、新神戸駅付近から空港新線に乗入れが可能なので、阪急線と新幹線との接続が新神戸でも実現可能です。
万が一、上図オレンジラインの阪神新線が検討されるのであれば、JRが
青ラインのJR新線「JR摩耶→JR灘(南)→阪神春日野道」から
阪神本線→阪神三宮→阪神新線→空港新線へ乗り入れる可能性も・・・
否。
さすがに、ここまで複雑なルートは検討されないでしょうね。
利用者目線で考えても、訳が分からない路線になりそう。
三宮新駅への各社路線集約は、ルートを描く段階でその厳しさが窺えます。
三宮付近での相互乗り入れにこだわるなら、何かを諦めなければならないでしょう。
コスト面も容易ではありません。
ここで改めて、神戸新駅への各路線集約について考えます。
上の図は、前回から述べている「空港新線 & 神戸新駅ハブ化」案によるルート案。
一石∞鳥。
神戸新駅を結節点として想定すれば、
阪急・阪神は、ごくわずかのレール延長で、空港新線と繋がります。
既存の路線・運行パターンを維持しながら、自社路線のメインターミナルである「阪急三宮駅」、「阪神三宮駅」をフル活用できます。
言い換えるなら、阪急・阪神の立場から言うと鉄道新線の「三宮新駅」を間借りせずに済みます。
これは編成運用上&経営戦略上、阪急・阪神にとって結構大事なポイントではないでしょうか。
JRから神戸新駅→空港新線への乗入れは、前述の三宮新駅乗入れと比較して、施工難易度&コストがはるかに下がるはずです。
敷設すべき区間も、おのずと導き出されます。
今ある神戸高速鉄道(地下区間)とJR高架区間を接続出来さえすれば、いいのです。ゴールは明確です。
JR・阪急・阪神・山手/北神線が相対的に低コストで空港新線に乗入れ可能。
市営海岸線や山陽電鉄の乗入れ可能性も充分検討できます。
各方面からの直通運転とその利便性も、前回述べた通り抜群です。
今回、いくつか比較しながら気づいたことは、
神戸駅をハブ化することで、JR・阪急・阪神が「三宮駅」というターミナルを維持・活用し、より弾力的な編成を組むことができる、相乗効果まで期待できるという点です。
そして、
神戸駅をハブ化すると路線図がシンプルにまとまる、「どの会社の電車が、どこを、どう走るか」が分かりやく整理されるという点です。
空港アクセス鉄道については、まだまだ気付いていない点や考えるべき点などもあるかと思いますので、引き続き話題にしたいと思います。
2023年2月6日作成
(お読みいただきありがとうございました。)